法学部の学生時代から、日記・エッセイ・小説等を書いているブログです。
gooブログの「順風ESSAYS」から移行してきました。ここでは長めの記事を投稿していきます。
管理人へのメッセージ・お問合せはこちらのページになります。



ファンタジーの効用

夏の盛り、実家に帰って、置きっぱなしだった学生時代のプリント・ノート類や書籍の片づけをした。その中から、中学生の頃から構想していたオリジナルのファンタジーの話を書き留めたメモが出てきたので、PCに打ち込んで整理した。当時好きだった地中海の歴史をベースに、異能力バトルあり、国同士の政治的駆け引きあり、時空を超える因縁ありで我ながら面白い展開で、非常に楽しい時間であった。自己完結の愉しみだけど、いつの日か形にできればいいなと思う。

そんな体験をした中で、先日、ドラクエの映画を楽しんだことを書いたのだが、インターネット上では過剰ともいえる批判に支配されていて、意外な思いをしたことが思い出された。

 

oikaze.hatenablog.jp

 

この映画では、最終バトルにおいて、ストーリー外から「なにゲームに熱くなっているんだ、いい加減大人になれ。」みたいなことを言われる展開があるのだが、これが観た人に非常に強いショックを与えるようである。映画ではこの敵を打ち破ってストーリーに戻るのだが、あまりにショックが強すぎてこれが映画の結論のように思った人も多くいるようだし、 映画で展開された敵を打ち破る理論は陳腐で納得できないと思う人も多くいるようだ。それほどショックが強くなるのは、大人が熱を入れるのはおかしいと本人も実際思っており、これに目を背けて楽しんでいて、図星を突かれたようになるからかもしれない。私が特段ショックがなかったのは、別に堂々と楽しんでよいと思っているからかもしれない。その違いとして、大人にとってのファンタジーの効用について少し考えを進めてみることにした。

ファンタジーが子供っぽいという印象を生むのは、大人は、仕事、社会や家庭における現実の問題を解決していくことが責務であるという感覚が背景にあると考えられる。空想に耽るのは現実逃避という見方になる。しかし、ファンタジーは世界観や設定で空想が入ることはあれど、ドラマが展開される以上、現実の問題と関わり合う部分が必ずあるし、人々を惹きつけるためには、違和感を感じさせ過ぎないことも重要である。表現する上で現実と空想を調和させていくという作業が必ずある。そして、その作業は、世界観の構築という大掛かりなものだ。

ファンタジーに接する上でこれらの過程に思いを馳せてみれば、現実の中で何が重要であるのか、空想で飛び越えた現実の要素を埋めるには何が必要であるのか、といった観点から考えが突き動かされ、日々の生活のアイデアの源泉になる。また、子供の頃に没入した体験を振り返り、対比するなどして、自分がどういうことに惹きつけられるのか認識するきっかけになる。そして、広く人を惹きつけていくものは何なのか、理想と現実をどのように調和させて、組織や体制を構築していくのか、といったことにもつながってくる。私自身、しばらくファンタジーから離れていると、味わいたいなという感覚になり、楽しんだ上で世界観など色々なことを考えてみると、頭がフレッシュになる感じがする。

そして、ドラクエの映画の「ユア・ストーリー」は、ドラクエ5を楽しんだことがあることを前提に、こういう展開にしたい、といったプレイヤーの希望を踏まえて進められるという世界観が付け加えられている。そこでは、単純に用意された世界に受け身で没入するだけでなく、まさに上記のファンタジーを表現する作業に加わるということでもあり、ひとつ大人側の楽しみ方が付け加わったとみてよいのではないか。

 

oikaze.goat.me

 

先の記事で、私だったらグランバニア王としての立場にクローズアップして、最終決戦でラインハットと共闘したいなということを書いた。他にも、本編でも深く掘り下げられていない「妖精の国」の成り立ちや天空世界や魔界との関係などにクローズアップして、ひとつのストーリーを展開することもできよう。

これでも納得できないのであれば、ペルソナ4ゴールデンのアニメでは、「世の中クソだ、なに青春ごっこやってるんだ。」という敵の話を主人公が論破できず殴りつけてねじ伏せるという展開だったのだが、それはそれで面白いという受け方をしており、同じように逆ギレ上等でラスボスを殴り飛ばす感じで楽しむ、ということもあるかもしれない。

ともあれ、これだけ多くの人が惹きつけられている以上、ファンタジーは単なる逃避とかではなく、ポジティブな面があるのは確かであって、その側面を考えてみるのがよいであろう。

ドラクエの映画を観に行ってきた

テレビCMで流れていて興味を持っていたこの映画。公開初日の金曜日の夜、仕事とレイトショーの時間がうまく合ったので、さっそく観に行ってきた。

dq-movie.com

感想を簡単に挙げると、次のようになる。

  1. ドラクエ5のストーリーを映画用にリメイクした内容
  2. 圧巻のグラフィック、バトルシーン
  3. ネタバレ禁止要素は賛否両論あると思うが大筋に影響なし
  4. 私のストーリーだったら、グランバニア軍隊を組織したい

テレビCMではドラクエ5の主人公やフローラらしきキャラクターが出ていたので、ドラクエ5は出てくるのだろうとは思っていたが、他作品の要素も入ったものかもしれないと思っていた。観てみると、ドラクエ5のストーリーを映画用にリメイクした内容であった。

思えば、スーファミドラクエ5は私が初めてやったテレビゲームである。「封印の洞窟」をなかなかクリアできなかったため、世界各地に修行の旅に出てレベル55くらいまで上げ、その後一気にクリアまで突き進んだ思い出がある。仲間モンスターは、スライムナイトはもちろん、イエティ、ゴーレム、メッサーラなどを主力として使っていた。ビアンカとフローラについて、私は最初のプレイでは何となくビアンカを選んだが、その後はフローラも全然ありといった感覚だった。だが今になり、今回の映画の感じであれば、断然ビアンカである。

この映画では、美麗なグラフィックでドラクエの世界観が再現され、バトルの躍動感も圧巻であった。これだけでも十分に楽しめ、また観に行きたいくらいである。ニンテンドーDSスマホなどグラフィック面での向上が見込めない流れになってしまっているが、今回の映画に近いグラフィックでゲームのリメイク版が出たら嬉しい。

ラストバトルで、ドラクエ5のストーリーとは少し外れたネタバレ禁止要素があった。賛否両論あると思うが、これでオチが付くわけではなく普通に本筋に戻ってくるし、思い返すと伏線がいくつか散りばめられていたこともあって、あまり全体に影響はないんじゃないかと思う。むしろ気になったのは、主人公が石像になる直前までサンチョは一緒にいたので、主人公の居場所と状態は戻ればすぐに把握でき、あそこに何年も放置しなくてよかったんじゃないかということだ。

ユア・ストーリーということで、私がドラクエ5の世界観とストーリーで少し希望を反映することができるとしたら、数年くらいグランバニア王としての生活を行い、軍隊を組織したりして、大神殿のバトルにおいて、ヘンリー率いるラインハットとの連合軍で協力し合って攻め込むという展開ができたらいいなと思う。

ペルソナ4・5の世界でNGT騒動の話を作ったら

今年初めから起きている、山口真帆さんの暴行被害告白に端を発するNGT騒動。山口真帆さんと彼女を支えたメンバーはNGTを出て、新しい環境を得て、次の活動の準備をしている。他方、山口真帆さんと対立していたと思われるメンバー達は、運営の対応のまずさもあって、イメージの悪化から活動が止まっている状態だ。活動停止が長引く中、体制維持には他グループで挙げた収益を回すことになると思うのだが、これを他グループのファンは許すのであろうか。

今回の件、個人的には、運営は暴行被害を大したことないことだという感覚でいたのだろうと思う。身体を使った営業もなきやという業界である。だが、Metoo運動など性被害に関する世間の動きを看取できなかったこと、また、そもそも表に出た以上そんな態度を持ち出してはいけないという原則を守れなかったことで決定的にイメージが損なわれてしまった。被害者である山口真帆さんに誠実に向き合わず、第三者委員会調査も徹底したものが行われず、内部事情を知っていると思われるアカウントが怪文書的な情報を発信したり、週刊誌に印象操作的に情報を小出しにしたり、とても個人の人権を尊重しているとは思えず疑問が多かった。そんな中、山口真帆さんが職場環境を発端とする刑事事件の被害者の立場から、弁護士も立てずにひとつの場所に着地するまでやりきったのは本当にすごいことで、そこに至るまでは大変辛かったと思う。

そんな騒動をみていて、私は日本の人気RPGシリーズであるペルソナ4・5がよく連想された。以前に取り上げたように、ペルソナ4の「人は見たいものをみる」というテーマは現在のポスト真実の議論に通じるものがあり、世相を先取りする素晴らしいシリーズである。ペルソナ5は「歪んだ大人の心」がテーマで、最初の敵のパワハラ教師など、今どきそんな奴はいないだろう、思春期の等身大の心の動きを扱ったペルソナ4よりもリアリティがないなと思っていたのだが、日大アメフト部の事件や今回のNGT騒動をみて、まさに現実の問題に通じていると認識を改めるに至った。そして、その世界観でひとつ小話(SS)を作ってみたいなという思いが生まれた。ざっと次のような感じである。

ペルソナ4で連続殺人事件が解決し、転校生は都会に戻っていった。メンバーは新学年で思い思いの生活を送っていた。ある日の学校、屋上での会話。八十稲羽近くの沖奈市では、地域密着のアイドルグループが盛り上がっていた。全国の人気投票で突然票を伸ばしたメンバーもいて、大きく話題になっていた。

男子たちみんな話してるね、花村も好きなわけ?千枝が尋ねる。いや、そこまででも。だけど親父と付き合いのある広告会社の娘さんが知り合いでメンバーにいるから、応援はしてるよ。ふうん、大量投票したの花村じゃないかって噂だよ。ない、ないって。俺そんな金持ってないの知ってるだろ。そうだね。でもさあ、結局大量得票の実態よくわからないし、最近はショームーブって動画配信アプリ?で変な声が入るとか映像が乱れるとか、色々怪しいところあるよね。映像の乱れ?まさかマヨナカテレビのような…直人、考えすぎだって。「ヨウスケー、大変だクマ」なんだよクマ、テレビの中の世界にシャドウの匂いがするクマ。ええ、せっかく霧が晴れてすぐなのに、どういうことだよ。放課後みんなで確認しに行こうぜ。

ここだクマ。確かにこの一帯にシャドウが生まれて、ダンジョンがあるな。なんだこのキャラクター、シナモン?「きゃああ」悲鳴だ、中に助けに行くぞ。…大丈夫か。間に合ったようだな。このかわい子ちゃん知ってるクマ、アイドルのまほちゃんクマ。ありがとう、私は…。何があったんだ、話してくれないか。…ひっどーい、犯罪じゃん。なのに何も変わらないの?私のいた事務所じゃあり得ない!りせ、落ち着いて。みなみんがそんな子だったなんて。陽介も!ショームーブのアプリからこの世界に。何が起きているのか…

「お前が我慢しさえすればグループは守られるんだ。大人たちを敵に回すのか。夢がかなわなくなるぞ」シャドウの声だ!「いや、死ぬ思いをして、このままだとまた狙われるかもしれないし、他の子もどうなるか…私どうしたら」来るぞ、みんな構えろ、ペルソナ!…倒した。ケガはないか。ええ、ありがとう。自分の気持ちは裏切れない。たとえ一人になっても、どんなにつらくても、貫かないといけない。ペルソナが生まれた!ジャンヌ、よろしくね。俺たちは仲間だぜ、いつでも力になるからさ。私も復帰のときまほちゃんのこと事務所に話してみる!ありがとう、みんな。

ジュネスのベンチにて。まほちゃんの身体は大丈夫?さっきラインしたけど、もう少しすれば回復できそうだって。よかった。これから事件のこと皆に明らかにするのかな。とっても勇気いるよね。支えてあげよう。さあ、作戦会議だ。今回の敵は現実にいる、しかも田舎のチンケな警官の世迷言のレベルとは大違いだよね。しかも鳴上くんもいない。どうしたらいいの。それだけど、鳴上にも相談してみたんだ。そしたら、こんなメッセージが返ってきた。向こうにいるジョーカーって友達に話してみたら何かできるかもって。なんか歪んだ大人を改心させられるってさ。それすごい。そして、いちばん効果的に、一番上の親玉をいきなり狙うってさ。え、大丈夫なのか、本当に。(つづく)