NiziUの素晴らしさを語りたい

NiziUと私

NiziUは、TWICEなどを手掛ける韓国のJYP Entertainmentと、YOASOBI、LisA、米津玄師など日本国内で次々とヒットを飛ばしているソニーミュージックがタッグを組んで生まれた女性アイドルグループである。私は昨年、Huluの無料体験期間に妻の友人からの勧めで一緒にNizi Projectを観るようになったところ、すっかり好きになってしまった。シングルCDも発売間もなく購入した。ファンクラブには手を出していないが(私は人生で一度もファンクラブというものに入ったことがない。)、出演するテレビ番組を録画したり、タイアップの商品を買ったり、NiziUファンのYouTubeチャンネル(おにくかんこく、サランピtv)を見たりしている。以下では、私が感じたNiziUの魅力についてまとめてみたい。

 

Nizi Projectの素晴らしさ

NiziUについて気になったら、まずはオーディションの過程を描いたNizi Projectを観るのがお勧めである。Youtubeで短縮版だが無料公開されている。これまでオーディション番組やリアリティショーは、ギスギスした人間関係や圧迫感があるイメージがあり、好きではなかった。だが、Nizi Projectは、明るい雰囲気作り、JYParkやスタッフが参加者を一人の人間として尊重して扱う姿勢、よく考えられた納得感のある構成、参加者のレベルアップが実感できるパフォーマンスで、見るのがしんどいと思うことがなかった。

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Nizi Projectでのオーディションの過程は、全国各地での地域オーディションに始まり、東京で数日間使った合宿(個人でダンス、歌、スター性の実演の後、グループ実演に人柄評価を加える。)で14人に選抜して、韓国合宿においてJYPEntertainment施設で約半年間をかけた最終オーディション(個人レベルテスト→4チームグループ実演→3チームグループ実演→2チームグループ実演→最終選抜)を行うというものである。

見る側にとっては、歌、ダンス、スター性、人柄と選考する視点が明示され、各ミッションで与えられる課題や組み合わせもよく考えられ、JYPark自身が一流アーティストであることによる話の説得力がすごいものがあり、非常に楽しめた。中でも特に唸ったのは、東京合宿でリオのダンスにダンサーのようだというのは誉め言葉ではないと話したところや、韓国合宿の個人レベルテストでニナに自分の課題を考えてパフォーマンスするように話したところである。また、人柄を選考基準にし、最終的なメンバー人数を決めなかったことで全体の雰囲気をよくすることにも成功していたと感じる。

勝手ながら企画側の視点から見てみると、最終的なグループの質や実力の水準を確保するため、JYPEntertainmentは日本人練習生を複数抱え日本進出の準備を進めていたように見える。練習生からはマコ、ミイヒ、リマ、ユナが参加しており、それぞれ強みも異なる。東京合宿まではこれらの練習生が高いパフォーマンスを発揮し、他の参加者に危機感を与えるとともに、グループワークで引っ張る役割を担った。

韓国合宿では、 練習生の中でユナの調子が悪く、成長というテーマなどからしても選びにくくなってしまった。ミッション2では成長著しいリクと組ませて何かを発見できることを期待されたが、あまり相性がよくなく、パフォーマンスもよくなかった。そこに入り込んだのがマユカで、ミッション3でのハートビートのパフォーマンスで、JYParkは驚きと喜びを隠さず、ユナを入れてしようとしていたことを十分に務められるという見込みが立ったのではないか。

アヤカはグループのバランス上どうしても最終メンバーに必要な参加者であったが(他に高身長がいない。)、実力に不安があった。アヤカの成長がない場合はモモカを選ぶことを考えていたように見える。ミッション1の個人レベルテストでJYParkはモモカにアヤカと比較するようなコメントをし、ミッション2のパフォーマンスでアヤカの方に成長が認められ、ミッション3では同じグループに入れてマコに指導させて、モモカ脱落の判断に至ったのではないか。

韓国合宿では、中核メンバーとしてマコ、ミイヒ、リマ、マヤ、グループに必要な個性を持つメンバとしてニナとアヤカ、その他の中で実力が高く目立っていたのがリクとリオという感じのように見えた。圧倒的な実力でなければ少しの機微で決まってしまうのは仕方のないことである。JYParkの講義の後、参加者全員に最終メンバーを絞るとしたら誰が入るかというアンケートが実施されたが、中核メンバーには一緒に組みたい参加者、その他のメンバーには自ら入る意欲をみるもので、最終の判断に影響したであろう。

準備期間が短い参加者の中で明暗を分けたのは「体力」のように思う。リクは空手、アヤカはテニス、マユカはダンスなどスポーツの経験があり、短期間の密度の濃いプログラムに食らいつくだけの体力があったように思う。リリアは個人レベルテストで体力の問題から振付を変更し、アカリも病気の影響があった。どんなに気持ちがあっても体力的に厳しく苦しい様子を見せていると比較して練習への取組態度が低く評価されてしまいがちである。

  

NiziUの楽曲とパフォーマンスの素晴らしさ

NiziUの楽曲はMake you Happyが大ブームを起こした後、シングルCDが2枚、デジタルリリース楽曲1つ出され、YouTubeでNiziU scoutというバラエティ番組が出されている。さすがに当初の勢いが続いているとはいい難いが、コロナ禍の情勢下、昨年は巣ごもり1年目で新たなヒットがたくさん生まれたが、今年は他にも全国的にヒットらしいヒットがない状況で、環境的に厳しいところがあるだろう。

新曲リリース→音楽番組出演の後、テレビ出演が途切れる感じになるのが残念である。特に今求められているのは、JYParkとNiziUメンバーの対談や指導場面特集だと思う。NiziUはJYParkとの関わりなくしてNizi Projectと同様の魅力は発揮されない。プロとして単独で人気を得ることを求められるともいえるが、日本向けに成長物語とともに短期間の準備期間でデビューさせているのだから、もう少し関わりがあってよいだろう。すなわち、JYPark自身がNiziUの各メンバーとの関りを示しながら楽曲やダンスのテーマや狙いなどを話すような番組である。将来は韓国語講座とかやってもらっても面白い。

楽曲とパフォーマンスは確実にレベルアップしており、特に私が感動したのはTake a PictureとPoppin' Shakin'である。難度の上がったダンスをきちんとこなし、音楽番組でも見事にパフォーマンスした。その分、Make you Happyのように皆で真似することは難しくなってしまった。簡易振付バージョンとか初級編とかあれば面白いが、皆もダンスのレベルアップをする必要があるのかもしれない。

また、楽曲の内容が全年齢向けを貫いているところが素晴らしい。変に男に媚びない。令和の新時代にあるべき価値観を体現している。JYPの楽曲は女性の可愛らしさなど扱うものもあるが、男性目線の嫌らしさを感じないのがすごい。Nizi Projectでみられたような、アーティストは誰かのための道具ではなく、アーティスト自身が一人の人間であるという捉え方を感じる。東京オリンピックでもみられたような、結局は上の世代の価値観で進むような状況の中、新時代の風を外から取り入れるのもよいと思う。